フォトレジストとは?
フォトレジスト(Photoresist)は、半導体デバイスや集積回路(IC)の製造において使用される感光性材料です。フォトリソグラフィ工程で、特定のパターンを基板に形成するために使用されます。以下にフォトレジストの機能、種類、用途、そしてリソグラフィプロセスにおける役割について詳しく説明します。
フォトレジストの機能
フォトレジストは、光に対して感度を持つポリマーから構成されており、光の照射を受けるとその化学的性質が変化します。この特性を利用して、シリコンウェハー上に微細な回路パターンを形成します。
フォトレジストの種類
フォトレジストは、主に以下の2種類に分類されます:
- ポジ型フォトレジスト(Positive Photoresist):
- 光が照射された部分が溶解しやすくなり、現像処理によって除去されます。結果として、照射された部分にパターンが形成されます。
- ネガ型フォトレジスト(Negative Photoresist):
- 光が照射された部分が硬化して溶解しにくくなり、現像処理によって照射されなかった部分が除去されます。結果として、照射されなかった部分にパターンが形成されます。
フォトレジストの用途
フォトレジストは、半導体製造の様々なプロセスで使用されますが、特に次のような用途があります:
- ICチップの製造:微細な回路パターンを形成するために使用されます。
- MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)デバイスの製造:微細な機械構造を作成するために使用されます。
- プリント基板(PCB)の製造:回路パターンを基板に形成するために使用されます。
フォトリソグラフィプロセスにおける役割
フォトレジストは、フォトリソグラフィプロセスの中心的な役割を果たします。このプロセスは、以下のステップで構成されます:
- ウェハーのコーティング:
- シリコンウェハーの表面に均一な厚さでフォトレジストを塗布します。
- マスクアライメントと露光:
- フォトレジストが塗布されたウェハーに、特定のパターンを持つフォトマスクを重ね、紫外線(UV)やエキシマレーザーなどの光を照射します。これにより、フォトマスクのパターンがフォトレジストに転写されます。
- 現像:
- フォトレジストが露光された部分と露光されなかった部分が異なる溶解性を持つようになります。現像液を用いて、不要な部分のフォトレジストを除去します。
- エッチング:
- 現像後に露出した基板の部分に対してエッチングを行い、基板上にパターンを形成します。これにより、必要な回路構造が作られます。
- フォトレジストの除去:
- エッチングが完了した後、残ったフォトレジストを除去します。
フォトレジストは、このような一連のプロセスを通じて、半導体デバイスの高精度なパターン形成に不可欠な役割を果たしています。技術の進歩に伴い、より高解像度で微細なパターン形成が可能なフォトレジストの開発が進められています。